06.15
コロナ禍により、仕事流通量20%・登録者が増加したフィリピンのクラウドソーシング企業「199jobs」の事例
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コロナの影響でテレワークが浸透した2020年日本ですが、海外のテレワーク事情、クラウドソーシング業界にはどのような変化が起きたのでしょうか。今回、クラウドパワーパートナーズ海外編集部では、以前紹介したフィリピンのクラウドソーシング企業「199jobs」にコロナ蔓延でのクラウドソーシングビジネスへの影響を改めて伺いました。
199jobは、記事作成、カスタマーサポート、ソーシャルメディアの管理、マーケティング、デザイン、ウェブサイト制作などを担当できるフリーランサーが多数在籍しているフィリピン発祥のオンラインプラットフォームです。
以前の記事はこちら:フィリピンから海外展開へ「199jobs」CEOインタビュー ~ローカル企業へのアプローチから海外拡大へ~
Contents
ークラウドソーシングビジネスに新型コロナウイルスが与えた影響どのようなものでしたか?
案件量20%増加・登録者10%増加した。
当社のクラウドソーシングプラットフォームについては、フィリピンでのロックダウン後、受注が20%UP、登録者が10%UPしています。フィリピン国内企業が業務支援を求めたのに対し、当社クラウドソーシングワーカーが速やかに対応できたことが理由です。また、解雇されて収入を必要とする人が登録し続けたことでも登録数は増加しました。
課題としては、回線問題です。より多くの人々がオンラインで仕事を行うようになったことで回線速度が落ちていることくらいです。
ー一般企業はではどのようにテレワーク・在宅勤務をしていますか?
成果主義で業務評価を行う企業
多くの企業では成果主義で評価しています。勤務時間をモニターするのは難しいからです。たとえば法律事務所を経営する友人はZOOMを使い、毎日夕方4時にメンバーとビデオ会議をします。毎回メンバーに業務タスクを課し、翌日の会議までに準備してもらうという仕組みです。これによりモニタリングの必要はなくなり、成果主義で評価できるようになるわけです。
ーテレワーク・在宅勤務についてうまくいかなかった事例については何かご存じですか?
テレワーク・在宅勤務への適応は企業風土・ポリシーによる
企業風土とポリシーによりますね。
会計士として人たちは、在宅勤務をさせることはできないと話していました。顧客の機密情報を守る義務があるからです。このような場合は必要な従業員のみが出勤します。
他の従業員は有給休暇が与えられて業務レポートも不要となりますが、オンライン学習コースのリンクが送られます。彼らはオンラインで新しいスキルや知識を身につけ、仕事に戻る時に役立てられるわけです。オンラインコースには「リーダーシップ」や「マネジメントコース」「生産性のセミナー」が含まれます。
199jobs|3ヵ月以上や長期契約で時給換算の報酬スタイル
ー「199jobs」の報酬体系はどうなっていますか?
成果型報酬と時給換算報酬の2つのスタイル
クラウドソーシングのワーカーは業務経験によってレートが定められています。経験期間が3ヵ月未満ならパフォーマンスに基づく報酬、3ヵ月以上や長期契約だと時給換算の報酬となります。
フィリピンのフリーランサーはオンラインコミュニティでアクティブに動いており、自身の評価レートがどうあるべきかと議論しています。特定の業務で誰かの報酬が上がれば、他の人もそれにつれて上がっていくでしょう。
私見ですが、クラウドソーシングの課題は報酬の低さではなく、顧客を見つけることだと思います。フィリピンに拠点を置く企業はフルタイムワーカーを雇いたがっています。その関係で、当社顧客の80%は米国・英国・オーストラリアとなっているのです。
しかしフィリピンの企業はフリーランスのサービスを使い始めているので、これからどう変わっていくかが楽しみです。これは「ニューノーマル」と呼ばれており、クラウドソーシングを使えば中小企業のコスト削減にもつながるでしょう。
事業者と起業家への教育がマーケティング業務の80%
ーコロナ渦を乗り越える事業戦略についてお聞かせください。
直近の課題は、オンラインフリーランサーへの教育
将来の課題は、発注企業の増加・営業活動
最近は新規ユーザーをプラットフォームへ案内し、オンラインフリーランサーになるための教育を施すのが大変です。将来の課題は、彼らが生活に必要な金額を稼げるようにすることです。当社ではフリーランサーへ仕事が回ってくるように、ローカル企業にクラウドソーシングを導入するよう呼びかけています。そしてフリーランサーにはライティング、ビジュアルアシスタント、デジタルマーケティングのスキルを身につけられる機会を提供し、需要に応えられるようにしています。
私たちのマーケティング業務の中で事業者と起業家への教育が80%を占めています。幸運にも彼らは当社プラットフォームへ参加してくれるようになりましたが、ただ当社フリーランサーの60%が定期的に仕事を受注しているヘビーユーザーでもあり、事業者・起業家がクラウドソーシングを利用するように教育を施すのは重要です。
ーありがとうございました。
インタビュー後記
コロナの影響によって、仕事・登録者ともに増加に転じておりポジティブに捉えているという199jobsのFitz Villafuerte氏。在宅勤務・テレワークについて評価方法や企業文化で試行錯誤をしているという点では日本と同じ境遇にあると感じました。
今後、世界同時進行で働き方が変わる中で、オンラインでの人材争奪戦が一般化もまもなく訪れようとしています。
取材日:2020年5月
取材・インタビュー:hongou
編集:n.takai