2017
03.08

スペースシェアビジネスの今 ~不動産のシェアリングエコノミー事例~

ニュース/トピックス

労働力やサービスなど、限りあるヒト・モノを有効活用して新しいビジネスを創造する社会の新しい形となりつつあるシェアリングエコノミー。

人口減少や一極集中型のライフスタイルにより空き地、空き家や空き農地など、眠ってしまう可能性のある土地は増え続けるばかりです。これらの土地を有効活用することは、社会や地域創生に貢献するだけでなく、ビジネスとして大きな可能性を秘めています。

今回は、シェアリングエコノミーの中でも“土地の有効活用”にスポットを当ててご紹介します。

Contents

1.軒先ビジネス(by 軒先株式会社)

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2008年のサービス開始以降、登録スペース数7,000件以上、利用登録数は10,000件以上の実績をもつレンタルスペースマッチングサービス。ショップの軒先やモール内の空き店舗、オフィス街や公園前スペースなど、単発ビジネスやワークショップなど様々な目的に合うスペースを、誰でも無料で登録が可能。スペース検索から予約完了までシンプルな手順で行うことができるのも利用者数の上昇に繋がっている。

2.スペースマーケット(by 株式会社スペースマーケット)

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イベントの企画・運営やプロモーションも行う企業で、多岐にわたる目的、用途に合わせたレンタルスペースを提案・紹介している。条件別での検索、キャンペーン、スタッフおすすめスペースなどサイトも見やすくワクワクを感じる。スペース探しのみならず相談や提案もしてくれるコンシェルジュサービスもユニーク。
ゴルフ場や映画館、お寺まで利用できてしまう、これぞいかなる土地をも有効活用するシェアリングエコノミービジネスだ。

3.空き家の駐車場をカーシェアステーションに!(by ALSOK、タイムズ24株式会社)

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2016年11月に都内の一部地域でスタートした、セキュリティーサービス会社のALSOKと駐車場運営会社のタイムズ24のコラボレーション事業。空き家管理をALSOKに依頼するユーザーに対し、その空き家の駐車場にカーシェアリング車両の設置を提案し、ユーザーに収入が生まれるビジネスを立ち上げた。空き家関連の犯罪など社会的にも問題になっている近年では、企業のみならずユーザーおよび地域社会にとって総合的なメリットが生まれる仕組みとして期待されている。

4.シェアビレッジ(by 株式会社kedama、ハバタク株式会社)

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2015年にスタートし同年のグッドデザイン賞を受賞したコミュニティづくりのプロジェクト。秋田県の過疎化が進む村の村民希望者を全国から募り、集まった“登録上の村民たち”により一軒の古民家を支えるというユニークなプロジェクト。消滅危機にある村の再生と、これまでにない形で田舎を持てる“村民”のニーズがマッチし、新しい仲間、コミュニティも形成されている。ボランティアや官庁主導ではなく、ビジネスとして成立し土地の有効活用および地域活性化にも寄与している注目度の高い新しい事業である。

5.おぶぶ茶苑(by おぶぶ茶苑)

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京都のとあるお茶を飲んで感動した若者が茶農家を目指し農業ソーシャルベンチャーとして、茶畑オーナー制度というユニークな事業を行う企業。継ぎ手のいない農園や茶園が今後ますます増えていくと考えられる中で、既存の土地の有効活用として新しい形のシェリングエコノミーが成立している。この企業のようにこの事業を観光とを結び付け、Made in Japan商品を世界に発信するビジネスへと拡大をしていることは、シェアリングエコノミーの強みである相乗効果を生み、さらなるビジネスの成長が期待できるだろう。

6.Shared Earth(by Sustainable America)

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アメリカの、食料と燃料供給システムの持続可能な社会の創造を目指す非営利団体が行っている活動の一つで、個人間で畑や庭、農業・園芸用具のシェアができるサービス。1900万件以上の未活用な土地があるといわれているアメリカで、土地を有効活用したい人と家庭菜園や園芸を気軽にしたい人、自然に触れたい人などとの需給のマッチングを行っており、近年需要が高まっている。

7.ひつじ不動産(by ひつじ不動産)

ひつじ

2005年運営開始から様々に変貌を遂げユニークなシェアハウスを紹介する不動産メディア。従来の不動産紹介の概念とは異なるスタッフ独自の目線、紹介により、物件の特徴やアピールポイントをどう見せるかで入居希望者と絶妙なマッチングを図っている。人口減少により空き家や空き物件が増え続けている近年、今後も成長が期待できるビジネスだ。
また、シェアハウス入居希望者の入居目的はますます多岐にわたっており、経済的理由以外にも家族単位での入居や相互扶助型、共通のこだわり空間を共有する仲間の集まりなど、ニーズの多様化による成長も期待できそうだ。

おまけ~民泊を取り巻くビジネスの今~

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日本でも新規ビジネスとして期待されている民泊。そんな民泊を一躍流行らせたアメリカのAribnbだが、代行事業を始め、これを取り巻く新たなビジネス体系が続々と生まれている。アメリカで広く利用されているGuestyやPillowは今やAirbnbを支える重要なビジネスパートナーと言えるだろう。そのサービス内容は鍵の受け渡し、部屋の清掃から価格分析まで多岐にわたり、Airbnbを一時的な事業とするのではなく、安定した収入を見込みたいホストから高い信頼を得ている。つまり、ユーザーとホストの両方に効率性や安全性などのより高いメリットを生み、Airbnbをビジネスとして成り立たせるためのマネジメント機能をもつ事業が急成長している。今後は、さらに付加価値を見出すためのコーディネート、ホスピタリティをホストに提案するような事業内容にも発展していくだろう。

一方の日本では、民泊をめぐる法律の配備について引き続き議論が行われているが、すでにZens株式会社のように民泊物件のリノベーションからアカウント作成、清掃などの管理・運営を総合的に担う事業が活躍している。進む方向によってはこのような新規事業がさらに生まれ成長することは大いに考えられる。