2019
05.28

配送クラウドソーシング、リターンクライシスを解決できるか？～米国・配送クラウドソーシングに期待されるのは、「単なる配送ではなかった」～【前編】

Contents

配送クラウドソーシング、リターンクライシスを解決できるか？

～米国・配送クラウドソーシングに期待されるのは、「単なる配送ではなかった」～【前編】

１．配送クラウドソーシングの今

米国のラスト・マイル・デリバリーの市場規模は2023年に650億ドル以上に達すると言われている（2018年、Mordor Intelligence調べ）。このラスト・マイル・デリバリー市場（2017）の80%のシェアは米国にあるとされ、顧客の23%が即日配達を希望している。その中でも史上初の「オン・ザ・ウェイ」デリバリーサービス会社として知られるRoadie社は、米国全州で120,000人のドライバーとともに、即日配達の分野で米国世帯全体の89%に配達を続けてきた。Roadie社では経営者の洞察とクラウドソーシングのコミュニティをうまく作用させて各種課題に立ち向かっていく点が非常に興味深いため、本稿で記載する。

※ラスト・マイル・デリバリーとは、物流業界において最後の配送拠点とエンドユーザーを結ぶ区間を指し、その市場（2017）の80%のシェアは米国にあるとされ、顧客の23%が即日配達を希望している。

※オン・ザ・ウェイとは、配達先の方向へ向かおうとしているドライバーが依頼人から荷物を預かり、目的地まで送り届ける配送サービスを指す。これにより、今すぐ荷物を届けてほしい人が、アプリケーションを通じて近くにいるドライバーを探し、配達を依頼することができる。

※クラウドソーシングとは、企業や個人がオンライン上で不特定多数の群衆に業務を発注（アウトソーシング）する業務形態を指す。

２．デリバリーサービス「Roadie社」CEO　”不可能はないと信じ、創造すること。それがマジックだ”

米国史上初の「オン・ザ・ウェイ」デリバリーサービス会社として知られるRoadie社 CEOのMarc Gorlin氏（以下Gorlin氏）だ。TEDのスピーチでは自身がマジック好きだと公言し、無から何かを創造する重要性を述べている。

「不可能はないと信じ、創造すること。それがマジックだ」

英語にはMake something out of nothingという言葉がある。一般的には「いちゃもんをつける」「火のない所に煙を立てる」と訳されることがあるが、「無から何かを生み出す」という意味合いも持つ。

こう述べるのは、

Gorlin氏が活躍する配送クラウドソーシングの分野では、クラウドソーシングが新たなビジネスを生むかもしれない。スピード、低価格、即日・深夜・休日の配送を望む顧客へのフレキシブルな対応など、オンデマンドと呼ばれる即応性が課題となっているラスト・マイル・デリバリーの市場で、クラウドソーシングは大きく貢献してきた。しかし、小売店と消費者のニーズは、ラスト・マイル・デリバリーの即応性にとどまらず、オンデマンドの商品リターンにも及んでいる。そこに無から何かを生み出すきっかけがあるかどうかを探ってみたい。