03.08
海外クラウドソーシングサイト紹介 Vol.21 『Samasource』
第21回は、2008年設立のNPOによる『Samasource』のご紹介です。
Contents
SamasourceはサンフランシスコのNPO法人によるクラウドソーシングサイトで、平均日収3ドル以下という貧困層の女性や若者向けに、フリーランサーとして働くためのITスキルに関するトレーニングと雇用機会を提供している。
2008年の設立以来、アフリカやインドなど世界の33,000以上の人々が貧困から脱却、登録者の収入は4年で約4倍にまで増加している。
創業者でCEOのレイア・ジャナは、ほかにLXMI(ハイエンドスキンケアブランド)を経営。Samasourceと同様に、雇用機会を与えることで人々を貧困から救う、というミッションを掲げる。著書にGive Workがある。
マイクロワーク
Samasourceでは登録者に「マイクロワーク」と呼ばれる仕事を提供している。
マイクロワークはインターネットベースのタスクを細分化・簡略化したもので、PCとインターネットがあればだれにでもこなすことができる。
実際に、登録者のほとんどはSamasourceがはじめての、肩書きのある正式な仕事であり、トレーニング以前にはPCに触れたことさえなかった人々が多い。
登録者は大手IT企業の人工知能やアルゴリズムを最適化するためのデータ検証・機械学習支援を行っている。
その言葉の響きとは裏腹に、高度な技術を必要とする内容ではまったく無いのが特徴。
例えば駐車場会社から、「自社のソフトウェアがそれぞれの駐車スペースに車がいるかどうか判断できるように学習させてほしい」と依頼がきたとする。
登録者はパソコンを開き、駐車スペースの画像を一つずつ確認し、車が停まっている場合は印をつける、という作業を繰り返す。
人力で正確に入力されたデータをもとに、ソフトウェアが学習し、駐車スペースに車がいるかどうか抜け漏れなく判断できるようになる。
他にも
・Googleの本のデジタル化
・Linkedinに登録された矛盾するユーザーデータの解析
・Googleの検索機能の機械学習支援
・トリップアドバイザーに投稿された不適切なコメントのフラグ機能の向上
など、登録者は容易なタスクを通じて様々な経験を積み、ステップアップしていくことができる。
一つ一つのマイクロワークはその名の通り小さなものだが、寄り集まって大きくなり、世界の貧困層の人々の力で先端企業の困難なプロジェクトを達成することができる。
Samaschool
2013年、Samaschool(スクール)立上げ
Samasourceは2013年にSamaschoolを立上げ、貧困層向けのITスキルトレーニングスクールを開設している。アメリカ各地・ケニアにおけるプログラムのほか、オンラインコースを用意。
受講生はトレーニングのほかに、受講期間内でポートフォリオの作成ができる。
もちろんSamasourceによるクラウドベースの求職支援も行っており、これまで65カ国20,000人の人々がSamaschoolの無料トレーニングプログラムを受講している。
バックグラウンド
創業者のレイア・ジャナは1982年ニューヨーク州ルイストンで生まれ、カリフォルニア州ロサンゼルスで育つ。
かつて一文無しの状態でからくも渡米したインド人移民の両親を持ち、彼女の幼少期の記憶には常に経済的な困難が伴うという。
そのような環境であったため、家計を助けるために10代からベビーシッターや家庭教師など、様々な職を経験した。
17歳の時に人生の転機が訪れる。
AFS(高校生の国際交換留学プログラム)の奨学生に選出。
6ヶ月間ガーナに赴任し、その滞在中に村の生徒たち(多くが盲目)に英語を教えた。
2005年にはハーバード大学でアフリカ開発学研究の学位を修了。
在学中モザンビーク、セネガル、ルワンダにおけるフィールドワークの傍ら、世界銀行やNPOのAshokaへのコンサルティング・論文提供を行う。
卒業後、Katzenbach Partners社のコンサルタントとして担当した様々な海外アウトソーシング事業によって、後のSamasouceのアイデアが形成された。
2008年にNPO Samasourceを設立した後も世界から貧困をなくすために、本の出版やTEDでの講演、メディアでのインタビュー、雑誌の表紙を飾る等、精力的に活動している。
参照リンクはこちら
Samasource公式サイト:https://www.samasource.org
LXMI公式サイト:https://lxmi.com
Leila Janah公式サイト:http://www.leilajanah.com/
Samaschool公式サイト:https://www.samaschool.org/